このたび、アーティスト・ユニット 守章による展覧会「近くて遠くて」を開催します。 東京を拠点に作家活動をしてきた守章は、さまざまなものの間にある「距離感」をテーマに作品を制作してきました。本展では、鳥取市中心市街地に位置する旧横田医院をスタジオに、約1ヶ月半にわたる滞在を通じて制作されたふたつの作品を発表します。
《終日市町村》は、一日の終わりに流れる地域の防災無線の音を収集するもので、約10年前より守章が全国で手がけているプロジェクトです。今回の滞在期間中、鳥取県内の19市町村を巡り、各地の音を収録してきました。それぞれの場所にあるそれぞれの音は、そこに住まう人々の日常の一部となっていると同時に、「災害」という非日常へと接続する時間でもあります。
この「継ぎ目」を取り出し、並べ、再生することで見えてくるのは、どのような風景なのでしょうか。新作《近くて遠くて》は、唱歌「ふるさと」の作曲家として知られる鳥取市出身の岡野貞一(1878-1941)の作曲した戦前の外地にあった校歌をもとに作品化したものです。声とも楽器とも異なる、口元を出入りする空気によって奏でられるメロディが、全館をつかったサウンドスケープとして展示されます。
近くに居るのに隔たりを感じること。遠くにあるものに想いを馳せること。物理的・時間的な「距離」とは異なり、「距離感」とは人の想像力によって時に縮まり、時に離れてと、変化し続けるものです。
お誘い合わせのうえ、是非ご高覧くださいますよう、お願い申し上げます。